- 学芸員のコラム
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2021/11/10
学芸員のコラム No.1
お酒づくしの展覧会 ―開館20周年記念特別展「うま酒の国 大和」開催中!―①
あなたもお酒が醸(かも)した文化の美に酔いしれませんか?
現在開催中の開館20周年を記念した特別展「うま酒の国 大和」は、古代から現代にいたるお酒に関する資料や美術作品が大集合した展覧会となっています。
古代におけるお酒の役割とは?
展覧会のタイトルにもなっている「うまさけ」という言葉、これは『万葉集』に「三輪」の枕詞として記されています。三輪は、明日香村のおとなり桜井市にある地名で、その三輪の地には、三輪山をご神体とした大神神社(おおみわじんじゃ)が鎮座しています。大神神社は、現在も酒造りの神として全国の酒造家から厚い信仰を集めています。展覧会の第一章「神と人をつなぐ酒」では、大神神社の遺跡から出土した土製品を中心に、古代における、酒の果たした役割に迫ります。
中世の絵画に描かれた飲酒場面
日本中世に描かれた絵画には飲酒場面も多く描かれています。描かれ方として大きく分けて2つのパターンがあり、1つは六道絵などの地獄を描く場面で戒律を破り地獄に落ちる悪い行いとして描かれます。もう1つは貴族の優雅な宴として豪華な食べ物とともに描かれるというパターンです。しかし、どちらもともに絵の中の1場面に過ぎないものでした。ところが中世末になると、「飲むこと」「食べること」そのものを主題にして制作された絵巻物「酒飯論絵巻」が登場します。本展覧会では、江戸時代の摸本(愛媛県歴史文化博物館蔵)を展示しています。
(つづく)
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